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遺産相続トラブルを避ける〈上〉

2017/11/23 (木) 13:25
遺産相続トラブルを避ける〈上〉
もめる原因は感情
 遺産分割で家族間の争いになるケースが増えています。いったんもめ事が起きると、相続人が感情的に対立し、絶交になることも珍しくありません。自分が死んだ後に残された家族がバラバラになってしまうのは悲しいですね。どうすればそのような事態を避けることができるのでしょうか。
 なぜ遺産分けでもめるのでしょうか? 原因はさまざまですが、多くの相続争いで代理人を務めた経験から感じるのは、相続発生に至るまでの関係の中で家族などが互いに不満を持っていて、それが一気に噴き出たケースが多いということです。
 「お兄ちゃんは大学まで行ったのに、私は行かせてもらえなかった」、「俺は家業を守るために必死に働いたのに、弟は気楽なサラリーマン稼業」、「お姉ちゃん一家は父さんと同居して家賃も払っていない」など枚挙に暇がありません。立場が違えば同じ事柄も全く違って映ります。親が生きている間は口に出せなかった不満が遺産分けのときに表に出てくると、大きなもめ事の要因となります。形式的には財産分けの問題ですが、「お金ではなく感情の問題」といえます。
 
思いを伝える
 残された家族が、こうした感情論でもめないためにはどうすれば良いのでしょうか。
 私は、生前にご自身の思いを家族にちゃんと伝えることが一番だと思います。苦労を掛けた人をねぎらい、感謝の思いを伝え、不満を感じている人の誤解を解き、不公平な扱いをしてしまった人に詫び、家族全員に愛情を持っていることを伝えれば、相続争いの多くは避けられます。
 遺言、信託、生前贈与や生命保険の活用など、相続対策の手段はいくつもありますが、誤解や感情的な対立を解くことができれば、それが最も有効な相続対策といえるでしょう。
 

竹内 裕詞(たけうち・ゆうじ)
 1966年生まれ。名古屋大学卒業。日本相続学会理事。さくら総合法律事務所代表弁護士。相続・遺言・家族信託に関する講演を多数開催。