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遺産相続トラブルを避ける〈下〉

2017/12/23 (土) 13:32
遺産相続トラブルを避ける〈下〉
親の相続でのトラブル
 親の遺産相続で兄弟姉妹が争う事例をよく見かけます。表向きは財産の取り合いですが、プライドをかけた意地のぶつかり合い。こうした感情対立の末にあるのは関係の断絶です。結婚などのお祝い事でも連絡しない、ご先祖さまの法事も行わない…といった事態になることも。
 親の介護をしていた、家業を手伝っている、といった相続人がいる場合に揉めることが多くなります。「母の世話を懸命にしてきたのに、何もしなかった妹が同じ法定相続分を要求するのは納得できない」という姉に対して、「お姉ちゃんは同居して生活費を払ってもらっていた。お母さんの蓄えが少ないのはお姉ちゃんが使ったからじゃないの」と妹が言ったら、一気に絶縁になりかねません。
 親の生活を支えて努力してきたのにそれを否定するようなことを言われたら、理性でなく感情が表に出てしまいます。形式的には財産分けの問題ですが、もはや「金の問題」ではなくなっているのです。
 
法律では解決できない
 このような事態を法律で解決するのは実は難しいのです。貢献をした相続人を優遇する「寄与分」という制度はありますが、介護や家業の手伝いには限られたケースでしか認められません。問題の根本はお互いの理解不足ではないでしょうか。他人の苦労を想像して理解することは難しいものです。逆に苦労している人は、周りの人は分かってくれていると思いがち。そこにギャップがあるのです。親と同居し、介護する苦労はやってみなければ分かりません。介護経験のない人には、一度親の面倒を見てもらったらどうでしょう。本当の苦労はその立場にならなければ分かりません。苦労を兄弟姉妹で分かち合うことで親の相続が起きたときの認識のギャップを埋めることができるのです。
 

竹内 裕詞(たけうち・ゆうじ)
 1966年生まれ。名古屋大学卒業。日本相続学会理事。さくら総合法律事務所代表弁護士。相続・遺言・家族信託に関する講演を多数開催。